はじめに
人はどうして旅に出るのでしょうか?皆さんはどういう理由で旅に出たことがありますか?
美味しいものが食べたい。絶景が見てみたい。自分を見つめ直したい。経験値を高めたい。いろんな価値観に触れてみたい。などなど、様々な理由があると思います。
それでは「人に会いに行く旅」に行かれたことはありますか?
今回、「つながる島旅」という旅に参加し、北海道利尻島へ「人に会いに」行ってきました。
本記事では「つながる島旅」の取り組み及び利尻島の方々をご紹介いたします。
本記事を通して旅する前から知り合える「これからの新たな旅のカタチ」をご体感いただけましたら幸いです。
なお、本記事は動画も公開されていますので合わせてご覧ください。
つながる島旅とは
「つながる島旅」とは、島の方と旅人が繋がり、通いたくなる島と出会う旅企画です。
「つながる島旅」のしくみ
これまでの旅と違うのは迎える島の方がやってくる旅人を知っている、ということです。
島へ行く前に話が出来るようオンラインコミュニティに参加した上で、「オンラインBAR島語り」というオンライン飲み会を開催し、島の方をゲストを迎えて飲み語り、交流を深めた上で島へ行きます。
お互いを知っているからこそ、その人に合わせた旅のオススメを伝えられ、島での過ごし方が変わっていきます。
今回利尻島に行く目的も、オンラインBAR島語りで何度もゲストとして参加いただいた利尻島の高橋哲也さんに「会いに行く」ためで、オンラインBAR島語りがきっかけとなっています。
高橋哲也さんの紹介
高橋哲也さんは利尻島に生まれ、利尻高校を卒業後、電気工事会社「利尻電業」に入社し、現在はパートナーの実家である津田商店を継ぎ、有限会社ヤマツ津田商店代表取締役をされています。
津田商店は2022年で138年目を迎える老舗であり、高橋さんは6代目の社長で、仕事の傍ら商工会青年部の部長・利尻町活性化協議会の代表などを行い、町おこし的な活動にも尽力され、さらに日本酒バー「銘酒BAR Tecchi」も経営されています。
▶︎津田商店
ということでオンラインBARで何回もお世話になっている高橋さんとリアルで乾杯をするために利尻島へ行ってきました。
島で乾杯の旅へ!
利尻島とは
利尻島は北海道北部の稚内市から西へ約52kmにあります。周囲約63kmのほぼ円形の島で、島の西側にある「利尻町」と東側にある「利尻富士町」の2つの町からなり、島の真ん中にそびえる利尻山をぐるりと囲む海岸線に人々が暮らしています。
春から夏にかけてとりどりの高山植物が花開き、全国的にも有名な「利尻昆布」や「ウニ」など日本海の海の幸や天然の恵み・湧水に恵まれた、漁業と観光の島です。
つながる島旅スタート!
つながる島旅スタート。
利尻島は稚内市からフェリーもしくは北海道札幌市にある丘珠空港という空港から飛行機で行くことができます(新千歳空港からも行けますが季節運航となっているのでご注意を)。我々は丘珠空港から午前の便で利尻島へ向かうことにしました。
が、午前の便が機材不良でまさかの欠航に…!急いで午後の便に振り替え、無事なんとか利尻空港に到着しました。
利尻島行きの便が一日2便あって本当によかったです(一日1便の日もあるのでご注意を)。
高橋さんとリアルで初対面!
利尻空港から利尻町沓形地区へ直行し、津田商店の高橋さんにご挨拶へ。
午前の飛行機の便が欠航になった分、会えた時の感動は計り知れないものがありました。
その時の映像がこちらです。
高橋さんとはオンラインBARでオンライン上は何度もお会いしていたのですが、ようやくリアルでお会いできました。やはりとても嬉しいです。
「つながる島旅」主催者の幸さんが、お土産として用意した長崎県五島列島の特産「五島うどん」を島の皆様にお渡ししました。
利尻島の皆様は五島うどんを食べられたことがなく、とても珍しがられていました。こうやって他の島の文化に触れることも大切ですね。
ちょうど夕暮れ時だったので、高橋さんに夕日スポットを教えていただき、夕日を堪能してきました。
島で乾杯!リアル飲み会開催
夜にはオンラインBARを通して知り合った高橋さんを始め、利尻島の方々と一緒にリアル飲み会が開催されました。
以前オンラインBARでゲスト出演いただいたオリジナル・雑貨アパレルブランド“CHICO GARAGE”の張間さんともここでお会いし、「ようやくリアルで会えましたね!!」と喜びを分かち合います。
お互い知っている人同士だからこそリアルで再会した喜びを分かち合い、お酒が進みます。
今回お世話になったお店は「かもめ」さん。
利尻島ならではの旬の食材をたくさん振る舞ってくれます。
まずはお刺身。つぶ貝、ほっき貝、ホタテ、タコの頭、ホッケなど、最北の島ならではの海の幸を味わいます。
続いて利尻昆布。なんと炭火で焼いた昆布で、利尻島ではおつまみとしてよく食べるのだそう。
これは美味い!!!!パリッとサクッと食べられるのでついついお酒が進んでしまいます。
続いて焼き海苔。丸い形をしていますが、ウニの身をザルに入れて出荷する際に使用する青い丸いザルで海苔を作っているので丸いのだそう。とても珍しいですね。
他にもつぶ貝のウニ和えやほっけの焼き魚など、利尻島ならではの料理を鱈腹いただきました。
つぶ貝だけでも贅沢なのにウニ和えとか…どれだけ贅沢なのか…。
締めには利尻島で採れたもずくとめかぶをいただきました。めかぶのおじやが美味しすぎて幸せいっぱいでした。。。
一緒に参加いただいた利尻島の方々も役場の方、ゲストハウスの方、アクティビティ会社の方、定住移住支援センターの方と島で活躍されている方々ばかりで、利尻島の話で大変話が盛り上がりました。
たくさん興味深いお話をいただいたのですが、中でも「島の人は自分だけでなく、島のことを考えている人が多い」とおっしゃっているのがとても印象的でした。
二次会 銘酒BAR Tecchi
盛り上がりに盛り上がった一次会に続いて二次会は高橋さんが経営されている銘酒BAR Tecchiへ。高橋さんがよくオンラインBARでご出演くださった場所で、念願の場所です。
店内にはたくさんの日本酒が並んでおり、都市部でもなかなかありつけない珍しい日本酒を飲むことができます。
高橋さんがプロデュースされた利尻島の水を使った日本酒「麗峰の雫」もいただくことができます。
地元の方だけでなく観光客の方もよくいらっしゃり、島の人も観光客も交わる楽しい場となるのだそうです。
二次会から合流した方もおり、話はさらに盛り上がります。
話が大いに盛り上がり、お酒もどんどん進み、ついつい飲みすぎてしまいました。。家の近くにあったら絶対通うな。。
島の人インタビュー
楽しかった飲み会の翌日、つながる島旅の撮影で島の方にインタビューを行いました。
1.CHICO GARAGE 張間綾さん
張間さんは北海道の最北の島・利尻島初のオリジナル・雑貨アパレルブランド“CHICO GARAGE“で利尻島の大自然にインスパイアされたCOOLなデザインを発信されています。
張間さんは函館出身で、結婚を機に利尻島へ来島されました。利尻島で暮らしていくうちに、「島を盛り上げたい!」という気持ちでお店を始められたそうです。
店内には張間さんご夫妻がデザインされた利尻島の自然や風土などをコンセプトにしたTシャツや帽子をはじめとした利尻島ならではの商品が立ち並んでいます。
例えば利尻昆布を干している島民を、愛情を込めて昆布を干していることから、昆布ではなくハートを干したデザインにし、バンクシー風にオマージュしたTシャツや、利尻島で「ガヤ」と呼ばれるエゾメバルというあまり有名でない魚をもっと日の目を見てほしいという想いを込めて作ったエコバッグなど、まさに利尻島に住まれているからこそのユニークな視点でデザインされた商品が多く販売されています。
オリジナルデザイン商品だけでなく、利尻島の方々とコラボしたTシャツやエプロンなども作られています。
自分達で作ったTシャツって団結しますし盛り上がりますよね。
「利尻島の方々と一緒に協力し合って利尻島を盛り上げていきたい」という強い想いを持った張間さん。
お話の節々からも利尻島を盛り上げて行きたいという想いがとても伝わり、その想いにとても感銘を受けます。
CHICO GARAGEには飲食ブースもあり、コーヒーや日本酒「麗峰の雫」の酒粕で作られた甘酒、奄美群島沖永良部島産のシマ桑青汁ラテなどの飲み物やホットドック、さらに輸入食品などが販売されています。そしてなんと朝10時から飲むこともできます(笑)
利尻島のお土産等もあるので是非張間さんに会いに行かれてみてはいかがでしょうか。
2.利尻町定住移住支援センターツギノバ 八木橋舞子さん
次にお伺いしたのが利尻町定住移住支援センターツギノバの八木橋さん。札幌出身の八木橋さんは、知り合いから地域おこし協力隊が募集中という情報を知り、地域おこし協力隊として利尻島に移住されたそうで、卒業後も島に定住し、現在ツギノバで働かれています。
利尻町定住移住支援センターツギノバは沓形中学校という閉校した中学校を活用した定住移住支援のための施設で、島の人の暮らし、また移住したい方の相談窓口となっており、相談だけでなく、カフェやコワーキングスペースとしての機能も果たしています。さらに多目的スタジオも設置され、地域の交流の場としても使われているそうです。
もともと音楽室だった部屋に設置され、地域の方々も楽器の練習やお茶会などに使われるそうです。
八木橋さんにお話をお伺いすると、島に移住したばかりの時、島の人は良い面も悪い面も思ったことを相手に真っ直ぐ正直に伝えるところがあり、最初は戸惑っていた部分もあったそうですが、そのおかげで改めて自分自身の長所や短所も分かり、今ではそんな島の人との距離感が良く、地域おこし協力隊を終えた後も利尻島への定住を決意されたそうです。
また、八木橋さんはもともと絵を描くのが好きだったそうですが、絵を描いていた姿を島の方が見て、絵を描いて欲しいと依頼され、今では人の似顔絵をプレゼントしたり、フライヤーなどの挿絵を描いたり、手ぬぐいのデザインなど仕事としていたただくこともあるそうです。自分の特技が周りの役に立っているのも利尻島に移住したからこそ。
とても素敵なお話ですよね。
ツギノバでは美味しいコーヒー、紅茶、ハーブティーをいただくことができます。
コーヒー豆も販売されており、島の方々も購入しているそうです。
3.RISHIRI ACTIVITY 室田雄飛さん
続いてお伺いしたのは「RISHIRI ACTIVITY」の室田雄飛さん。「RISHIRI ACTIVITY」は、レンタル自転車やキャンプ、SUP(スタンドアップパドル)など利尻島内でたっぷり遊べるアクティビティを提供されています。
室田さんは北海道洞爺湖町に生まれ、大学で「環境共生」という自然と人間の関係を学んでいく中で利尻島の自然、人や暮らしに魅力を感じ、移住後RISHIRI ACTIVITYを立ち上げ、SUPなどを通した利尻の自然ガイドツアーを開催されています。
利尻島でSUPのイメージがなかったのですが、利尻島の海は北海道トップクラスの透明度を誇るのだそうです。
ガイドツアーに参加された方々の感想をお伺いすると、利尻島の海の美しさに感動されたり、季節によってはトドが見れたり、海鳥の繁殖地を観察したりと生き物の生活を身近に感じれるところに感動されているそうです。
室田さんに今後の展望をお伺いすると、山も海もあり、自然を身近に感じることができる利尻島を、自分達の活動を通して発信していきたいそうです。特に、自然との遊び方を知らない利尻島に住んでいる子どもも多いため、自分達の活動を通して自然との遊び方を知り、島の良さに気づいてほしい、さらに、遊びを通して自発的に動いていける子どもを育てていきたい、と考えているそうです。室田さんの想いに心を打たれます。
お話をお伺いしていくうちに利尻島でアクティビティしたくなってきました。来年の夏はみなさんと一緒に利尻島に集合し、SUP体験と自然解説を交ぜた自然ガイドに参加しましょう!
4.津田商店 銘酒BAR Tecchi 高橋哲也さん
最後は津田商店店長及び銘酒BAR Tecchiの高橋哲也さん。銘酒BAR Tecchiにてインタビューを行いました。
ー バーを立ち上げたきっかけは?
もともと島のコミュニティが少なかったんです。集まる場所から生まれるものがあると考えており、人が集まる場所を提供したいという想いが生まれ、自分が酒屋ということもあり、日本酒バーを作りました。島の人も観光客も交わり楽しい場となっています。
ー 自分だけでなく利尻島のためという方が多い、と言っていたがそういう方は本当に多いのか?
島の人達は「町が良くなれば自分達も良くなる」ということを信じており、色々なお店を協力しながらやっています。
例えば昨日行った居酒屋かもめさんでご飯を食べ、ちょっと飲み足りないなと思ったら銘酒BAR tecchiに来ていただく。銘酒BAR tecchiはあえて23時閉店にしており、もう一杯飲み直したい、唄を歌いたかったらその後にカラオケスナックに行っていただく。こういったコースを作ることによってお客様にも楽しんでいただけるし、銘酒BAR tecchiだけでなく、他のお店も潤う。こういった仕組みなどを通して協力しながら町を良くしています。
ー 今後利尻島がどうなってほしいという想いはあるか?
まずは島の子どもから高齢者の方まで地元を好きになってもらいたいです。地元の人みんなが好きな町は自ずと第三者から楽しい町に見えると考えています。
まずは自分たちの町の良い部分も悪い部分も知り、どのようにより良い町にしていくかを考えていきながら、「自分たちの町が良い町だよ」と胸はって言えるような人たちが増えると良いなと思っています。
常に町のことを考え、町を少しでも良くしていくために行動されている高橋さんに、我々はただただ感銘を受けるばかりでした。
島の人に会いに行く意義
こうしてつながる島旅は終わりました。
観光はほとんどせず、本当に「人に会いにいく旅」でした。
しかし、高橋さんをはじめ、島の方とリアルに繋がり、楽しい時間を過ごすことができ、とても心の満たされた旅でした。
高橋さんとオンラインBARで事前に飲み語ったからこそ、リアルでお会いした時にお互い喜びがあります。
それは当人同士の関係性がなければ生まれないですし、人へ会いに行くのは、距離も時間も越え、行く目的ができます。
また、観光では一度きりかもしれないことが、友人が居るとなればまた行ってみようというきっかけも生まれやすくなり、また島へ行く理由ができます。島に通うことで関係性がより深まる仕組みとなっていく。
これが「つながる島旅」なのだと思います。
おわりに
「つながる島旅」いかがでしたでしょうか?
この記事を読んで離島に興味を持った方、こちらでオンラインBARをはじめとしたイベントをご案内しています。
是非離島好きの集いのグループにご参加下さい!
そして利尻島に行きたい方、島の方々に会いたい方、是非一緒に利尻島に行きましょう!!